循環型社会の
とびら

循環型社会ってなんだろう?
どんなことができるの?

循環型社会とは?
なぜ必要なの?

循環型社会とは、ごみが出ないようにしつつも、つかえる資源を捨てずに活用し、多くの資源を循環させることで地球環境へ負担をかけないようにする社会のことです。

現在の日本の社会では欲しいものがあればすぐに買うことができます。便利な生活をするために、どんどんものをつくり、どんどん捨ててきました(大量生産・大量廃棄)。その結果、ごみがふえてしまい、ごみを捨てる場所の確保や処理のしかたが問題となりました。大量生産・大量廃棄型の社会は、他にも資源の減少や生態系の破壊、地球温暖化などのさまざまな環境問題を引きおこします。これまでとは違う形の社会として、循環型社会に変えていくことが求められています。

そのためには、つかう資源やごみの量をへらしながらも(リデュース)、ものを繰り返しつかい(リユース)、つかい終わったものを資源として再び利用する(リサイクル)ことが大切です。3つの「リ」は英語ではRで始まる言葉なので、これらを3R(スリーアールまたはサンアール)といいます。

3Rというのは、「リデュース(Reduce=ごみの発生抑制)」「リユース(Reuse=再使用)」「リサイクル(Recycle=再資源化)」の頭文字をとったものだよ。この順で優先順位が高く、まずはリデュースでつかう資源やごみの発生をおさえることが大事なの。 最近は3Rのなかから「リフューズ(Refuse=ごみになるものを買わない)」と「リペア(Repair=修理して使う)」を取り出して、3Rに加えて「5R」という場合もあるよ。

出典:環境省 3Rまなびあいブック

私たちのまわりでは
どんなごみが出ている?

私たちのくらしからはどんなごみが出ているのか、キッチンをのぞいてみましょう。キッチンには食べ残した夕食の残りや、調理のときに出た野菜くずがあるかもしれません。また、食品が入れられていたプラスチック製のトレイやペットボトル、ビニール袋が捨てられているかもしれません。これら食品ごみやプラスチック容器包装のごみが、いま社会のなかで問題になっています。

食品ごみだけでなく、プラスチックごみも大きな問題になっているの。地球温暖化のひとつの原因となり、海を汚し、海のいきものへも悪い影響を与えるから。
プラスチックをめぐる問題やコープ商品での対応については、「いっしょに知ろう コープ商品プラスチック対応レポート」を読んだり、「SDGsのじかん」を見てね。このページの下の方にある動画も勉強になるよ。

食品ロスってなんだろう?

食品ロスとは、食品から出たごみ全体(食品廃棄物)のうち、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。日本の食品ロスの量は1年間で522万トン、毎日ごみ収集車(2トン車)約7,150台分の食料を捨てているのと同じくらいの量です。これは私たち一人ひとりが毎日お茶わん1杯分(約113g)を捨てている計算です。

食品ロスの割合は、食品工場やレストラン、スーパーなど「つくる側」「売る側」から出るものが年間275万トン。「つかう側」である私たちの家庭から出るものが年間247万トンです。食品ロスの約半分は家庭から出ています。

家庭での食品ロスの多くは食べ残しと、買ったまま食べずに捨てられてしまうものですが、野菜など調理の際に食べられる部分を取りのぞき過ぎたものも含まれます。一方で、飲食店やスーパーではつくり過ぎや食べ残し、売れ残り、消費期限や賞味期限が過ぎたもの、工場では商品パッケージの破れや印刷ミスなどが食品ロスのおもな原因です。このように食品ロスは「つくる側・売る側」と「つかう側・買う側」の双方から発生しています。これまで食品工場などから出る食品ロスはへってきたため、現在ではスーパーや飲食店、家庭から出る食品ロスをへらすことが課題になっています。たとえば飲食店では、私たちが食べきれる量の注文をすることはもちろんのこと、お店の方もお客さんが食べきれなかった食品の持ち帰りを認めるなど、お互いが協力して食品ロスを出さない工夫をすることが大切です。

「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解しよう。賞味期限はおいしく食べることができる期限のことで、この期限を過ぎても、すぐに食べられないということではないよ。たとえばお菓子とか缶詰とかは賞味期限の表示がされているね。
一方でお弁当やサンドイッチなどには消費期限が表示されているね。これは安全に食べられる期限という意味なので、過ぎたら食べない方が良いよ。

食品ロスはどうしていけないの?

食べられる部分を捨ててしまう食品ロスは、地球環境や困っている人に悪い影響を与えます。ここでは次の4つの問題を紹介しましょう。

食料資源がむだになる

食料は、農業や畜産業、水産業でとれた野菜や肉、魚などの貴重な資源です。特にこの40年で魚や貝など水産資源の減少が加速しています。食品をむだにすることは、大切な資源をごみとして捨てていることになります。

出典:令和4年度水産白書

土地や水、エネルギーがむだになる

食料をつくるには、土地や水が必要です。また、食料をつくり、加工し、車や船で運んだりするときには石油や電気などたくさんのエネルギーが必要になります。
食品を捨てることによって、これらをむだにしていることになります。

地球温暖化が進む

食料をつくる、加工する、運ぶ、調理する、ごみになった食品を燃やすといった過程で電気やガス、石油などのエネルギーがつかわれ、地球温暖化の原因になる二酸化炭素を出します。
これらは温室効果ガスとして地球温暖化の原因になります。地球温暖化について学びたい場合は「脱炭素社会のとびら」を読んでください。

必要な人に食料がいきわたらない

食料が必要な地域や人々にいきわたらず、飢えに苦しむ人々が出ることになります。世界中で多くの食料が捨てられる一方で、アジアやアフリカでは飢えや栄養不足で苦しんでいる人がいます。日本でも子どもの7人に1人が貧困状態にあります。
むだにされている食料をこうした人たちに分け与えることができれば、飢えや貧困で困っている人を助けることができます。

身近な工夫で食品ロスをへらそう

SDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)の12番目の目標「つくる責任 つかう責任」では、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる」ことが呼びかけられています。

食品ロスが出る原因は私たち「つかう側」と、食品工場やスーパーマーケットなど「つくる側」や「売る側」にもあることを学んできました。私たちが工夫することで、家庭での食品ロスはもちろん、スーパーマーケットなどの食品ロスをへらすことができます。

身近な工夫で食品ロスをへらし、SDGsの達成をめざしましょう。

買い物のときの工夫

冷蔵庫の中身をチェックしよう

冷蔵庫にまだ残っている食材を買ってしまい、つかいきれずに捨ててしまったことはありませんか? 買い物に行く前には、冷蔵庫の中にある食材を調べることで、そんなむだを防ぐことができます。
足りない物に気づいたらメモを取ったり、冷蔵庫の中をスマートフォンで撮影したりすると、いつでも簡単にチェックできるのでおすすめです。

「てまえどり」をしよう

スーパーなど小売店は、消費期限や賞味期限が近い食品から買ってもらえるよう、期限が近い商品を商品棚の手前に置いています。しかし、なかには棚の奥にある商品から買っていく人もいます。こうして買われずに期限になってしまった商品はお店で捨てられてしまいます。
すぐに食べる場合には、手前に置いてある期限の近い食品から買うこと。これが「てまえどり」です。みなさんも買い物のときには「てまえどり」を意識しましょう。

訳あり農産物を買おう

大き過ぎや小さ過ぎ、形がそろっていない、収穫中にキズがついた野菜は、美味しく食べられるのに売ることができない場合があります。これらは捨てられ、つくった農家の人たちも困ることになります。
生協などのスーパーでは、こうした野菜を「訳あり農産物」として販売していますので、見かけた場合は買うようにしてみましょう。

調理のときの工夫

食材を大事につかおう

ダイコンやニンジンの皮や、ブロッコリーのくきなど、捨ててしまいがちな部分も、調理のしかた次第で食べられ、ごみをへらすことができます。

期限の近い商品から調理しよう

献立を考えるときは、残っている食材や消費期限が近い食材からつかうようにしましょう。その食材でどんな料理ができるか工夫してみましょう。
調理アイデアは、「目指せ!サスシェフコンテスト」の受賞レシピアイデアも参考になります。

食品を寄付する

フードドライブに協力しよう

家庭で余っている食べ物を学校や生協のお店に持って行き、それらをまとめて地域の福祉施設やフードバンク(食品の収集・保管・配布をする団体)などに寄付する活動をフードドライブといいます。
買い過ぎや、賞味期限が近くなってきて食べきれない食品は、生協のお店や地方自治体に持って行くと受け付けてくれる場合があります。フードドライブで、食料が足りずに困っている人たちに食べ物を届けましょう。

田崎 智宏

【監修者】田崎 智宏

国立環境研究所 資源循環社会システム研究室 室長

博士(学術)。2001年度から国立環境研究所の研究者を務め、システム工学と政策研究の2つの専門性を活かして、廃棄物・リサイクルや持続可能な開発関連(指標やSDGsなど)の研究に従事してきた。中央環境審議会家電リサイクル制度評価検討小委員会委員、循環基本計画指標検討ワーキンググループ委員、環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員などを歴任。著書等に「つかう? やめる? かんがえよう プラスチック」「最新!リサイクルの大研究ープラスチック容器から自動車、建物まで」「持続可能な開発目標とは何か」等。

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