エシカルのとびら

エシカルってなんだろう?
どんなことができるの?

SDGsって
なんだろう?

みなさんは、エシカルにとても関係する言葉でSDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉を聞いたことがありますか?Sustainable Development Goals(サステナブル・ディベロップメント・ゴールズ)の頭文字をとったもので、日本語で「持続可能な開発目標」です。これは、現在の私たちだけでなく未来の人たちも豊かにくらせる世界をつくるために、世界中のみんなが協力して取り組んで2030年までに実現させようという目標です。なぜこのような目標が必要なのでしょうか?

世界には、貧しさから食料を買うことができず、飢餓の状態におかれ、病気も治せず、安全な水も手に入らない、学校に行くこともできず、性別によって差別を受けている人たちがたくさんいます。戦争や紛争がおこなわれ、人々の命が失われ、すむ場所をうばわれている人たちもいます。地球温暖化や自然災害の影響で安心して生活ができず、森林資源や水産資源(魚や貝など)が減少しています。

「このままでは、世界は大変なことになってしまう」。SDGsは、こうしたなか世界中の国が「だれ一人取り残さない」という強い決意のもと、2015年の9月に国際連合において決められました。SDGsには全部で17個の目標があり、世界中のみんなでこれらの目標を2030年までに達成することを目指しています。

出典:国際連合広報センター

SDGsがめざす「だれ一人取り残さない」や「持続可能な地球環境」の実現は、生協がずっと昔から大切にしてきた考えと重なるの。
だから全国の生協と日本生活協同組合連合会が、2018年に「コープSDGs行動宣言」をつくったんだよ。
全国にある多くの生協が、地球環境問題の解決やくらしやすい街づくりをめざして、SDGsに関わる取り組みを進めているよ。

つくる責任
つかう責任

私たちはこれまで経済発展のために「よりたくさんつくり、よりたくさんつかう」という大量生産・大量消費をくりかえしてきました。それにより地球の貴重な資源がへっていく一方で、たくさんのプラスチックごみや食品廃棄物、二酸化炭素(CO2)などがふえ続けています。そして自然環境の破壊や地球温暖化を引きおこしています。

このような現状を解決するためには、生産者も消費者も、ずっと未来まで地球環境が持続可能になるように責任をもってそれぞれ行動することが大事です。SDGsの12番目の目標である「つくる責任 つかう責任」はこのことを表現しています。

SDGsはスケールが大きく、一見難しく思えることから、どれから手を付けてよいか思い悩むかもしれません。しかし「つくる責任 つかう責任」の達成には、私たちが日々の生活のなかでできるものがたくさんあります。もっとも身近なのは、ものを買ったりつかったりする行動でしょう。その際に、未来のことや地球のこと、ものをつくった人たちのことを考えることが「エシカル消費」です。こうした行動は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の実現にもつながります。

このように「エシカル消費」とは、私たち生活者にとってもっとも身近でありながら、SDGsの達成に重要な手段だといえます。

Sustainable(サステナブル)って「持続可能な」という意味なんだよ。ちょっとわかりにくいこの言葉を、環境省の「こども環境白書」では「流しそうめん」を使って説明しているんだ。わたしも、次の人のことを考えて、取り過ぎないようにしなくちゃ。

出典:「こども環境白書 2019年度」より加工して作成

「消費」のしかたを
変えよう

「エシカル消費」のことを考えるにあたり、まずは私たちの現在の消費を振り返って考えてみましょう。私たちは生きていくために、さまざまなものをつかって消費しています。食べ物や衣服、学校でつかう文具、車や電気などです。私たちが「消費」しているものの多くは地球の自然が恵んでくれたものです。生きていくうえで必要な水も、木材もエネルギーも、地球の自然が生み出したものです。これらが加工され、私たちの手元に届くまでには、日本や世界で働いている多くの人が関わっていますが、私たちはその人たちの顔を思い浮かべることができるでしょうか?

できないのです。いい換えると、便利になった私たちの今の経済では、私たちが消費しているものがどうやって作られたかをきちんと把握することができません。そのため、自然のめぐみを「消費」し過ぎていることにほとんど気づかなくなってしまっています。魚や貝などがとれる量は年々へり、森林は減少し、すみかを失った多くの生物が絶滅の危機にさらされています。食べ物や身のまわりの製品などをつくるときに発生する二酸化炭素などの温室効果ガスは地球温暖化を促進し、世界各地で大雨など異常気象をもたらし、人間の生活に影響を与えています。

地球環境への影響だけではありません。原材料の多くを生産する発展途上国には、安い賃金で働いており十分に生活をすることができず、貧困に苦しむ人たちがいます。また、賃金はもらえていても、劣悪な労働環境のなかで健康を損なう人もいます。こうした問題のある方法でつくられた食べ物や衣服などは、このように苦しんでいる人々が本来もらうべき賃金などが差し引かれた安い値段で売られています。安いからといってそれらを大量に消費し続けることは、つらい働き方や生活に苦しむ人を見捨てることを意味します。

このように、私たちの「消費」は世界で起きている問題につながっています。したがって私たちが「消費」のしかたをよい方向に変えることで、こうした問題の解決につながる可能性があります。

たとえばポテトチップスやパンなどの加工食品、洗剤、せっけんなどの原料になるパーム油は海外から輸入をしているよ。
海外のパーム油農家の中には、安い賃金できびしい重労働をおこない、子どもも学校に行けずにパーム油の生産を手伝っている例もあるの。また、パーム油ができるアブラヤシの木を植えるために森林を切り開いたり、地元住民のための畑をつぶしたりすることもあるんだって。
もしわたしが好きなお菓子が、こういう状況で生産されたパーム油からできているなら悲しいな。自然環境や生産者の生活を考えたお菓子があったらいいのに。

エシカル消費って
なんだろう

「エシカル」は英語の「ethical」をカタカナ読みにしたものであり、日本語に訳すと「倫理的な」という言葉になります。エシカル消費とは、自分の都合だけでなく、他の人々や社会、環境など、地球全体にどのように関わり、どう影響するのかを考えて商品やサービスを選ぶ消費であるとともに、人々や地球を守るためにとても不可欠な消費なのです。

買い物は投票行動とも言われます。生産者のことを考えたバナナを買う、環境に配慮した服を選ぶ、そうした日常の小さな行動が「賛成」のメッセージとなり、こうした商品をつくる生協や企業などへ届きます。生協や企業は、消費者が求めているような商品をそろえたり、消費者にとって便利なサービスを始めたりすると、売れ行きがよくなり利益につながりますので、環境や人に配慮した商品を多く販売します。すると消費者にとっては、エシカル消費をできる商品が増えることになり、より多くの人たちがエシカル消費をすることができるようになります。このように、つかう側である消費者とつくる側である生協や企業が、エシカル消費を通じてメッセージの交換を続けるなかで、SDGsがめざす持続可能な状態(地球環境が保全され、一人ひとりの人間を大切にする世界)が実現されていくことになるのです。

自分にとってよいことが、他の人や動植物にとってよいこととは限らないよね。何かを消費するときは、その消費行為がどこにどんな影響をおよぼすのか、世界のどこかでだれかが困っていないか想像することが大事だよ。
一般社団法人エシカル協会の末吉里花さんは、このことから「エいきょうを シっかりと カんがえル」のがエシカル消費だといっているんだ。覚えやすいね。

生協で
エシカル消費をしよう

生協ではエシカル消費を、買い物をするときに「おいしい」「安い」「便利」といった自分視点だけでなく、地球温暖化や人々の労働環境など環境や社会への視点をプラスする消費と考え、「誰かの笑顔につながるお買い物」と呼んでいます。

エシカル消費をしようとするとき、私たちが選んだ商品が本当に環境や人のことを考えた商品なのか、判断するのが難しい場合があります。そんなときに参考になるのが、商品につけられた「認証ラベル」です。生協の商品にも認証ラベルがついたたくさんの商品がありますので、生協の組合員のみなさんはお店のなかや商品カタログにのっている商品のなかに、エコマークやMSC、FSC、といったラベルがついた商品がないか探してみてください。生協ではこれらのラベルをついた商品を「コープサステナブル」というシリーズにして、お店や商品カタログのなかで目立つようにしています。

私たちは生協での買い物を通して、エシカル消費に手軽に参加することができます。みなさんも今日からエシカル消費に取り組み、みんなが幸せになり、そして未来の人たちも豊かにくらすことができる地球や社会をつくりましょう。

なお、ここで紹介した内容は一例です。全国各地にある生協ではそれぞれ特徴的なエシカル消費の推進活動をおこなっています。ぜひ生協のホームページなどをご覧ください。

認証ラベルを
探してみよう

ここでは生協のコープ商品で取り扱っている認証ラベルを紹介します。どんなマークがどんな意味を持っているのか覚えて、お店や商品カタログで探してみましょう。

  • エコマーク

    エコマーク

    生産から廃棄にわたり環境への負荷が少なく、環境保全に役立つ商品に付けられます。

  • MSC「海のエコラベル」

    MSC「海のエコラベル」

    水産資源や環境に配慮した漁業でとられた水産物に付けられます。

  • FSC認証

    FSC®認証

    森林の環境や地域社会に配慮してつくられた商品に付けられます。

  • レインフォレスト・アライアンス認証

    レインフォレスト・
    アライアンス認証

    働く人の権利や地域住民に配慮しながら、森林を保護し生きものの生態系を守る農園でつくられた商品に付けられます。詳しくはra.org/jaをご覧ください。

  • RSPO認証

    RSPO認証

    適切に管理されたパーム油でつくられた商品に付けられます。

  • 有機 JASマーク

    有機 JASマーク

    農薬や化学肥料を控え、自然界の力で生産された食品に付けられます。

田崎 智宏

【監修者】田崎 智宏

国立環境研究所 資源循環社会システム研究室 室長

博士(学術)。2001年度から国立環境研究所の研究者を務め、システム工学と政策研究の2つの専門性を活かして、廃棄物・リサイクルや持続可能な開発関連(指標やSDGsなど)の研究に従事してきた。中央環境審議会家電リサイクル制度評価検討小委員会委員、循環基本計画指標検討ワーキンググループ委員、環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員などを歴任。著書等に「つかう? やめる? かんがえよう プラスチック」「最新!リサイクルの大研究ープラスチック容器から自動車、建物まで」「持続可能な開発目標とは何か」等。

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